有機JAS認証取得の手順

認証取得の区分を決める

業務の内容、取り扱う農林物資、および認証の区分については、以下のとおりです。

業務の内容 取り扱う農林物資 認証の区分
農業生産者が有機農産物を生産·販売 有機農産物 生産行程管理者
有機農産物を原料に加工食品を作る 有機加工食品
(有機農産物加工食品)
有機加工食品の生産行程管理者
有機の生鮮野菜を小分けする 有機農産物 有機農産物の小分け業者
有機の干し芋または干し柿を小分けする 有機加工食品 有機加工食品の小分け業者
有機栽培米を精米し、販売する 有機農産物 有機農産物の小分け業者
紅茶などの加工なしのパック 有機加工食品
(有機農産物加工食品)
有機加工食品の小分け業者
有機の飼料作物を生産し販売する
(牧草、干草などからサイレージまで)
有機飼料 有機飼料の生産行程管理者
有機栽培の稲藁または屑米を有機飼料として販売する 有機飼料 有機飼料の生産行程管理者

有機農産物の生産行程管理者の資格取得手順

  1. 認証基準の理解
  2. 自らの生産状況と認証基準とを比較確認
  3. 記録の整理および内部規則の作成
  4. 申請書の作成
  5. 申請書類の提出および書類審査
  6. 実地検査
  7. 認証委員会による判定
  8. 判定通知書、認証の交付、およびJASマークの交付

1. 認証基準の理解

  1. まず初めに取得しようとしている認証についての理解を深めてください。
    生産の基準としての「有機農産物の日本農林規格」が農林水産省のウェブサイトに掲載されています。
  2. 有機中央会が作成したそのダイジエスト版は、認証基準のページに掲載されています。
  3. 組織体制の基準としての「有機農産物及び有機飼料(選別、調製の工程のみを経たもの)についての生産行程管理者及び外国生産行程管理者の認証の技術的基準」が農林水産省のウェブサイトに掲載されています。
  4. 有機中央会が作成したそのダイジエスト版は、認証基準のページに掲載されています。
  5. 認証基準を読んでも理解することが困難な場合、講習会に参加することを推奨します。
  6. 有機中央会の講習会に参加すると理解が進むため、理解のためには早道です。認証制度の解説だけであればJAS協会でも講習会を開催していますので、参考にしてください。

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2. 自らの生産状況と認証基準との比較確認

  1. 自らの生産状況を認証基準と比較確認します。そして、問題がなかった場合、認証申請の準備に入ります。
  2. 有機中央会の講習会に参加すると、様々なことが理解できるために認識を取得するための早道です。認証基準を読んでも理解が進まない場合、無理をせずにじっくりと生産工程を検討し、確立してください。
    また、有機中央会が開催している講習会に参加して事前に学習しておくことも後日役に立ちます。

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3. 記録の整理および内部規則の作成

  1. 記録の整備: 有機の基準には圃場の条件があります。
  2. 定められた期間有機栽培が続いていることが必要です。
  3. 日記帳またはカレンダーの片隅に書いたメモなどを整理して、自分の生産を跡付けられるようにします。
  4. 記録を何も付けていない方は認証されませんので、すぐに記録を付け始めて、1年後に「転換期間中有機農産物」にて申請してください。
  5. 内部規則の作成: 生産行程管理についての規則および格付の規則を作成する必要があります。
  6. 規則というより、有機農産物の生産を行い、出荷する際のマニュアルと考えてください。
  7. 生産行程管理者の認証の技術的基準に最低必要事項が定められています。

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4. 申請書の作成

作成する申請関連書類は、以下のとおりです。

  1. 認証申請書
  2. 申請の概要を記入するためのトップシートです。
  3. 誓約書
  4. 認証審査を実施するにあたっての誓約書です。
  5. 生産行程管理担当者および格付担当者の略歴書
  6. 農業生産の実務経験が重視されるため、いつ頃から農業に従事しているかについて記入します。
  7. 申請圃場の一覧表
  8. 申請する圃場を特定し、管理するためのものです。
  9. 圃場の名前を未記入で申請する方がいますが、必ずその名前を記入してください。
  10. 所在地、面積、作っている作物などを記入してください。
  11. 有機農業開始年月という項目がありますが、ここには「圃場の有機管理を開始した作の前作の収穫終了日」を記入ください。
  12. 概要図および詳細図
  13. 概要図には、位置を把握できるように、目印になるポイントなどを含めて記入してください。
  14. 初めて訪れる検査員がその図面に従って圃場に行けるものであれば問題ありません。
  15. 詳細図は、農林規格に定められた圃場の条件について審査するためのものです。
  16. 圃場の形、面積、隣りの圃場の状況、隣りの圃場との境界の状況などを記入してください。
  17. 水田の場合、用水路、および廃水路などの水系についても記入してください。
  18. 航空防除を行っている場合、航空防除図も必要です。
  19. 圃場暦
  20. 整備した記録および事実に基づいて作成してください。「毎年のことだから、あの時はこうだったろう」という想定で作成しないでください。また、記録が全くない方は、これから記録を付け始め、1年後に申請してください。
  21. 3年または5年の日誌を付けている方は、それらに基づいてください。
  22. 圃場暦には、きちんと作業の時期または日付を記入してください。
  23. 播種、定植、収穫などの管理作業、土作り、雑草対策、病害虫対策について記入してください。
  24. 堆肥、肥料、および農薬は、使用したものをすべて記入してください。
  25. 育苗を行う作物については、その育苗についても記入してください。
  26. 栽培管理表
  27. 圃場暦は過去のことが記入されたものですが、栽培管理表は今年の計画が記入されたものです。
  28. 栽培管理表については、申請作物の栽培管理の予定を記入してください。
  29. 収穫実績·見込み一覧表
  30. 申請した圃場における前作の実績および今年の予定を記入します。
  31. 質問表
  32. 野菜、米、またはお茶などの作物毎に用意された、生産に関する質問表(選択式)です。
  33. 肥料および土壌改良剤などの使用資材に関する資料
  34. 認証者の使用資材一覧表に掲載されているものを使用している場合、使用している旨の申請だけで構いません。
  35. 掲載されていない資材を使用している場合、原料および製造方法が記載された資料を添付してください。
  36. その他
  37. 申請書に添付されている必要書類一覧表に基づいて、適宜用意してください。

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5. 申請書類の提出および書類審査

  1. 申請書類の補正調査
  2. 申請書類が事務局に届くとそれらの補正調査が行われます。
  3. 申請書類について不足または記入漏れなどがある場合、その旨指摘が行われます。
  4. 書類審査
  5. 軽微な不適合の場合、改善指摘が行われます。
  6. 重大な不適合の場合、指摘事項を是正した後に再申請を行う必要があります。

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6. 実地検査

  1. 実地検査
  2. 書類審査が終了した後、実地検査のために検査員が現地に出向きます。
  3. できるだけ申請者の近くに在住する検査員の中で利害関係のない検査員が指名されます。
    なお、有機農業に長年取り組んできた農業生産者が検査員として全国に配置されています。
  4. 実地検査報告書の作成
  5. 実地検査が終了した後、実地検査報告書が作成され、事務局に提出されます。

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7. 認証委員会による判定

  1. 判定報告
  2. 申請書および実地検査報告書が判定員に提示されます。
  3. 判定員から認証委員委員会に判定報告が行われ、認証委員委員会にて審議が行われます。
  4. 最終判定
  5. 判定員が認証委員会の審議結果および意見を得た後、最終判定を行います。

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8. 判定通知書、認証の交付、およびJASマークの交付

  1. 判定通知書、認証の交付
  2. 審査が終了した後、判定結果および理由などが記載された判定通知書が発行されます。また、認証の場合、判定通知書と併せて認証が発行されます。
  3. JASマークの交付
  4. 認証者には、JASマークの版下が交付されます。
  5. JASマークは、交付された版下によりJASマーク作成の規程に基づいて作成してください。

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